クラッシュ』

これはセックスを描いた映画ではない. セックスという名のマスターベーションを描いた映画だ. カンヌ国際映画祭でも賛否が真っ二つに分かれたという、変態でお馴染みデビッド・クローネンバーグ監督の問題作. 日本公開時は成人映画扱いになっていたそうですが、そんな過激な性描写もないだけに、心に気合と期待を充満させてみるとスカを喰らう映画だと思います. ハイウェイでの正面衝突事故により、事故の衝撃を通して性的興奮を覚えるようになった男と女. そしてそんな性的興奮にのめり込んでいる人々が集う世界. 一見、生死を彷徨った挙句に生きている実感を得るためにセックスにのめり込んでいるのかと思いきや、実はある意味首を絞められてエクスタシーを感じるセックスが好きな人と同じで、事故車に乗って誰かと交わるのが好きなだけの人たちのお話. しかもこの映画にはストーリーがほぼあってないようなものですから、主人公夫婦がこの変態嗜好な人たちの世界にのめり込んで命が危なくなるとか、元の生活に戻れなくなるとかは一切なし. 要は男女が事故車でカーセックスに励むだけ. いや正確には男同士でも女同士でも関係なく事故車でカーセックスに励むだけの映画. ですから誰かと交わることに意味がある映画ではなく、自分が昇天すればそれで満足の映画. つまりはセックスを描いた映画ではなく、マスターベーションを描いた映画ということなんです. まぁセックスやマスターベーションの趣味嗜好って人それぞれですから、男女別々の車に乗ってカマを掘りあいながら脱輪した場所で腰を振るのも、この人たちの勝手だと思います. 一度大きな危険という名の刺激を経験したがために、より強い刺激を求めてさらに激しいプレイを求めようとするのも、理解出来ないことはないです. でも事故車同士でピストン運動をしたり、股を開いた女性が男性に杖を預けたり、傷跡を女性器に見立てて舐めたり、洗車している最中に後部座席で男女が絡み合ったりするシーンがどれも意味を持って後々のシーンで回収されることがなかったのは残念. やはりマスターベーションの映画なので、一度満足したらそこで終わり. また次のマスターベーションに移るといった感じでしたね. ですから3人の女性陣の中ではデボラ・アンガーホリー・ハンターや、ロザンナ・アークエイドよりも色気がありましたが、興奮するほどの妖艶さがなかったのも残念でしたね. てな訳でこんな趣味嗜好の映画が撮れるのなら、是非とも故デヴィッド・キャラダインの死の真相も映画化してほしいですよ. 部屋中に張り巡らされたロープを辿ると仏の股間に行き着いたというあの伝説のマスターベーションを映像化しましょうよ. 深夜らじお@の映画館 は裸エプロンや裸ネクタイに興奮する派です. ※お知らせとお願い ■ 【元町映画館】 に行こう. 世界で一番映画を見る目が確かなクエンティン・タランティーノが審査委員長を務めた第57回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したこの韓国映画史上最も洗練された大傑作. 見終わった後の何とも言えない衝撃と感動は、まさに言葉にできないほどのものでした. 15年間も理由も分からず監禁され続けた男が突然理由も分からず解放され、自分を長らく監禁してきた男に復讐を誓うというヴァイオレンスものですが、とにかく映画全体における「間」がすごく心地いいんですよね. 復讐という行き着く先にはないもない世界に向かう男たちを寂しく哀れに、そしてユーモラスに描いたところが凄いです. タランティーノ映画とは全然違った復讐映画でしたね. またオ・デスの着メロにもなっていたあの音楽もいいです. 私も自分の着メロにしたいのですが、あれを着メロにしたばかりに15年も監禁されては困るので今は自重しております. ヴァイオレンス映画としては特に復讐シーンが地味に痛みが伝わってくるようなものばかりだったので、痛いのが嫌いな方は辛いでしょうね. 特に釘抜きで抜歯するシーンやオ・デスが舌を切るシーンはめちゃ痛々しかったです. でもそれ以上に心が痛かったのはラストのユ・ジテ演じるウジンの回想シーンでした. 最愛の姉をどこまでも想い続け、そして姉を死に追いやった自分を責め続ける彼がとても可哀想でした. この15年間彼もまた過去に監禁されていたと言えるような感じで、最後の最後に死をもって解放された彼の表情がすごく印象的でした. この映画をハリウッドでもリメイクする話があるそうですが、この世界観、そしてこの独特の「間」を再現することは120%ムリだと思うので、是非やめていただきたいものですね. この世界観と「間」の凄さはこの映画でしか味わえない、私は心からそう思います. 深夜らじお@の映画館 はこの映画を認めたタランティーノ審査委員長を尊敬します. モーターストームRC』の体験版無料配信開