マルコヴィッチの穴』

世界一頭がワイている脚本とも言えるのがこの『マルコヴィチの穴』ではないでしょうか? とあるビルの7階と8階の間に存在する71/2階というフロアには俳優ジョン・マルコヴィッチの頭の中に通じる穴があるという設定. しかもこの穴を使って商売したり、彼女と彼女が愛し合ったり、そして不老不死にまでお話がいってしまったりと、まさに「なんじゃこりゃ? 」な脚本だと思います. しかしこの映画はとにかく面白いんですよね. 「映画通」受けする作りになっていることもあるんですが、「自分とは何か? 」という哲学的概念をブラックコメディにしているのがすごく新鮮味に溢れていると思います. 特にマルコヴィッチ本人がマルコヴィッチの穴に入ったくだりは爆笑してしまいましたね. マルコヴィッチ、マルコヴィッチ、マルコヴィッチ・・・あんな世界だけは勘弁して~! でしたよ. 映画を見終わってみて、操り人形や動物たちが閉じ込められていた檻など小道具のほとんどがこの「マルコヴィッチの穴」に関連していることがわかるんですよね. この演出のうまさが奇想天外な脚本を際立たせていたんですね. すごく感心してしまいましたよ. ブラッド・ピットウィノナ・ライダーなどの有名俳優もカメオ出演しているのもビックリでしたが、一番のビックリはチャーリー・シーンのハゲ頭でしたね. きれいというか、見事というか、最後にあの映像を持ってくるあたりの監督のセンスが大好きです. もしこの世の中にこんな「穴」が存在していたらみなさんは入ってみたいですか? ジョン・キューザックみたいなことにさえならなければ、一度は入ってみたいと思いませんか? 私は少し興味がありますね. 深夜らじお@の映画館 は映画『手紙』をオススメします. リスベットが恋する乙女になっちゃった~! パンクな服装はどこへ行った!?モヒカンヘアはどうした!?女性らしさを前面に押し出すことなく、冷静さに温かな人間味を隠しながらも自分なりの正義を貫こうとする彼女ならではの格好良さが薄い! 謎解きは スウェーデン版 同様に面白かったのに、肝心要のリスベットの魅力は完敗しているじゃなイカ! リスベットほどではないのですが、あれこれ調べてみると、どうやらこの映画はハリウッドリメイクではなく原作の再映画化らしいですね. ですから舞台も スウェーデン版 同様にスウェーデンなら、役名や話の展開もほぼ スウェーデン版 と同じ. ただし登場人物は全員スウェーデン語ではなく英語で会話してましたけど. そもそも スウェーデン版 はオーソドックスですけど見応え十分なサスペンスと天才ハッカー・リスベットの強烈なキャラの2本柱が魅力の作品. このハリウッド再映画化作品に関しても謎解きの部分は結構面白く出来上がっていたので、 スウェーデン版 を既に見ている人でもサスペンスではなく映画として見れば十二分に楽しめると思います. ただアニタが2人いた真実がオーストラリアではなくロンドンになっていたのはちょっと作品の世界観がこじんまりとしたというか、意外とすぐに帰れる所にいたのねって思っちゃいましたよ. でもまぁ再映画化なんですから、これはこれでもいいのかも知れませんけど. しかしこの再映画化作品のリスベットはちょっといただけませんでしたね. もちろんアカデミー主演女優賞にもノミネートされた新鋭ルーニー・マーラは、ミカエルと関係を持ったシーンでのモザイクは萎えるわ! と思えても、凄く頑張っていたと思います. でも スウェーデン版 の強烈なキャラと比べると、全然強烈でも何でもないんですよね. パンクでもなければ、モヒカンヘアでもない. 他人を寄せ付けない雰囲気も弱く、孤独が生み出した冷静さと冷酷さでビュルマン後見人に壮絶な復讐をするといった感じもあまりない. 逆におかっぱヘアが可愛らしさを垣間見せてくれるほど. しかも何ですか、あのラストは. 「私は男には頼らない. 自分の力で生きていく」と言わんばかりの自立した格好良い女性のはずだったリスベットが失恋乙女になっているじゃないですか! どんなに辛く厳しい状況でも自分からは助けを求めない孤独戦士リスベットの格好良さが消えてるじゃないですか! そんなリスベットはリスベットじゃない! リスベットのドラゴン・タトゥーも見せなければ、優れた記憶能力にもちょこっとしか触れず、デヴィッド・フィンチャー監督がこの作品をサスペンス映画としか見ていないためにリスベットの魅力がおざなりになってしまったのが凄く残念でならない映画でした. ちなみに続編は作るのでしょうか. リスベットのトラウマもほとんど描かれてませんでしたし、 『火と戯れる女』 と 『眠れる女と狂卓の騎士』 の再映画化はなしになりそうな気がしますよ. 深夜らじお@の映画館 はエリカ編集長に関して再映画化作品の方が好きです. ※お知らせとお願い ■ 【元町映画館】 に行こう.