レディ・イン・ザ・ウォーター

物語はいまいちなのになぜか癒されているような不思議な感覚になる. 映画を見ている途中から私はこんな違和感を感じていました. やがてエンドロールが終わり、最後に監督のメッセージが映し出された時に全て理解できました. これはお伽話をそのまんま映画化しただけの作品なんだと. 平々凡々なアパートの管理人クリーブランドの元に突然現れた謎の少女は「青い世界」から来たという「水の精」. 奇遇にも東洋のお伽話を耳にした彼はアパートの住民と協力し、恐ろしい野獣に命を狙われている彼女を元の世界へ戻してあげようと奔走するのですが、そこでふと疑問が…. アパートの住民は誰も水の精だという彼女をちっとも疑っていないぞ! 記号論者が子供だったり、守護者が右半身筋肉質兄ちゃんだったりとこれらも不可思議だったのですが、全てお伽話なんだから深く考えてはダメだったんですね. 『ビッグ・フィッシュ』などのお伽話をベースにした映画を見ていると人間の汚い部分をきちんと描く一方で、物語が大人が忘れかけている愛や勇気の大切さを思い出させてくれるメッセージ性がありました. が、この映画にはそんなメッセージ性はほとんどなく、オープニングのアニメーションを実写映像化しただけみたいな、大人向けではなく子供向けに意識されて作られた映画だという感想を持ちましたね. おそらくシャマラン監督は今後子供向け作品に傾倒していくのではないでしょうか? 『ハリー・ポッター』の監督候補に名を連ねているのも納得でしたね. あとシャマラン監督の出演シーンがやたら多いことやら、監督が評論家嫌いのため劇中で映画評論家だけを殺したことなどはもう少し頭を整理してから、改めてこの監督の未来を考えてみたいと思います. こちらもよろしく↓ 深夜らじお@の映画館. 長年パートナーを組んできたディーン・デブリンとの決別という悲しみを前作 『デイ・アフター・トゥモロー』 では氷河期という映像で表現したローランド・エメリッヒ監督. 果たしてエメリッヒ監督はまだディーン・デブリンに未練が残っているのだろうか? そんなことを確かめるためだけにこの映画を見てきましたが、正直な感想は彼はまだディーン・デブリンへの想いは残っているような気がしました. 人類がまだ狩猟をしていた太古の時代という設定ながら、映画の雰囲気はどう見ても 『アポカリプト』 そのまんま. 平和に暮らしていたら見知らぬ民族に襲撃されるくだりなどリメイクか? と思うほどでした. また主人公は運よく捕らわれずに済むも恋人が連れ去られたので敵を追いかけるため数人の仲間と共に旅に出る展開は 『ロード・オブ・ザ・リング』 、旅の途中で仲間が増えて彼らと共に敵に挑むくだりは 『ロード・オブ・ザ・リング二つの塔』 みたいでした. 全体的にどこかで見たことのあるような展開ばかりで、なんだかなぁ~の連続でした. でその敵の本拠地もやっぱり 『アポカリプト』 同様にピラミッドがあって、あとは『スコーピオン・キング』や『コナン・ザ・グレート』みたいな展開でしたね. 詰めの甘い父親代わりだったティクティクや時間稼ぎのために孤軍奮闘するライバルのカレンも全部予想通りの展開に動きますし、神を名乗る敵のボスもあっさり出番を終了してますし、また襲撃隊の隊長も一目惚れだけであそこまで頑張るか? ってな感じで、正直新鮮味は皆無に等しいですし、監督もあまり人物描写を気にかけていなかったりしていますが一本の映画としては2時間退屈せずに楽しめました. クライマックスの戦闘シーンも前半でマナクの大群が激走するシーンを一度見ている分、迫力が倍増しているように感じるなど、ストーリーよりも映像重視なら十分楽しめる映画だと思います. で肝心のエメリッヒ監督のディーン・デブリンへの未練についてはラストの「青い目の伝説の始まり」で全て描かれていたような気がしました. というのも普通に考えればあんなことは絶対にありえないことですが、もしディーン・デブリンとよりを戻すことが事実上不可能に近い状況にエメリッヒ監督が追い込まれていると考えると、あれは監督が自分たちの関係にも奇跡が起こることを期待したいという願いではないでしょうか. そう考えるとデレーたちが何度も言葉にしていた「いつでも心は一つ」というセリフも愛しいディーン・デブリンへのメッセージに思えますし、何よりもこのタイトルそのものが「ボクはキミのことを1万年も愛しく思っている」というメッセージに思えてきましたね. まだまだエメリッヒ監督がディーン・デブリンへの想いを整理するには時間が掛かりそうな気がした映画でした. 果たして次回作からもこんな感じで映画を撮っていかれるのでしょうか? ちょっと心配です. 深夜らじお@の映画館 にも忘れられない恋があります. やっぱり「三国志」は面白いです. 歴史としてよりも映画として個人的にはあれこれ不満が残るところはありましたが、それでも最後まで楽しめる映画だったと思います. そして改めてジョン・ウー監督は英雄が大好きなんだと思いました. 英雄大集合のラストも『男たちの挽歌』の頃から変わってませんでしたね~. 「三国志」の中でこの赤壁の戦いが今でも高い人気を誇っているのは、何と言っても周喩孔明の先の先まで読んだ頭脳戦の面白さだと思います. 曹操が一手先を読んで行動するのに対して、周喩孔明曹操だけでなく互いの手の内まで読んで、しかも味方さえも巧く騙してしまう三手四手先を読んだ戦略. 10万本の矢を一晩で集めたり、水上戦初めての曹操軍にとって要であるはずの敵将を罠に掛けたり、劉備軍が撤退したりするのも全て周喩孔明が互いの作戦を計算した上で曹操を騙すというハイレベルなもの. しかもそれがことごとく的中するのですから、たまりませんよね. ちなみにこの映画では描かれていませんでしたが、周喩は老将の黄蓋をムチ打ちの刑にし、それで自分たちの足並みが乱れているという偽の情報も曹操軍に流していたとか. どこまでも凄い方です. もともと治めている地域の差から、陸上戦を得意とする蜀と水上戦を得意とする呉ですから、優位に戦いを進めるために挟み撃ちという戦術を取るのは戦力で優位に立つとはいえ曹操も頭のどこかで分かっていたはず. でもそれをいかにして濃霧の中に隠すように疑惑と不安で見えなくさせるかや、少ない戦力でいかにして大きな戦果を挙げるかを追求した火攻め作戦を最大限面白く見せるために、映画自体もセリフをできるだけ少なくし、団子のシーンなど演技だけで見せるなど、ムダを省いて効率をあげる演出にはジョン・ウー監督の巧さを感じましたよ. ただ如何せん、戦闘シーンがちょっと長すぎましたし、最後に周喩が投げ出された小喬を助けるシーンもヤリすぎ. また「戦は男が血を流し、女が涙を流す意味のないもの」というのを尚香の友情話や周喩の「勝者はいない」というセリフで言い表すのもいいですが、それまでの演出とは逆に省きすぎなのか説明不足だったり、唐突に感じたりしてしまったのも残念でした. そして一番の残念はやはり今回もエイベックス. 映画本編のOPで 前作 をプレイバックするシーンがあるのに、本編前にまたしてもムダな「三国志」解説. あの 前作 を見ていなくても大丈夫ですよ的なことは本当に無粋です. やはりエイベックスは映画界から永遠に去ってほしいです. 深夜らじお@の映画館 は棒高跳び風に活躍した超雲がお気に入りでした.